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心が引き起こす身体の病気

女の人

最近は子供の発症例もある

よく、「病は気から」などと言われることがありますが、これは単なる俗説などでは決してありません。心と身体とは密接に関連しており、時には心の変調が身体的な病変を招くこともあります。このような、精神の影響によって身体的症状が出る病気のことを心身症といいます。心身症は心理的な不安やストレスなどが身体に影響するという点で、神経症すなわちノイローゼに経過が似ています。異なるのは、神経症患者ががたとえば「ストレスで胃が痛い」と主張した場合は「胃が痛むような感じがする」状態であるのに対して、心身症患者の場合は実際に潰瘍ができているなど器質的な変化が起きているという点です。心身症が具体的な症状となってあらわれる範囲は幅広く、胃潰瘍や胃炎、狭心症などの内臓に関する症状のほか、高血圧や関節リウマチなどが代表的なものとして挙げられます。場合によっては蕁麻疹や円形脱毛症のように身体の表面に異変があらわれることもあります。女性の場合は生理不順などを引き起こすこともあります。また近年では子供が発症する気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎などに心の問題との関連が認められるという報告がなされています。今後はこうした「子供の心身症」に関する研究が進むものと考えられています。

心理面のケアが重要

心身症が発生するメカニズムについてははっきりと解明はされていませんが、現在ではむしろ心と身体が深い相関関係にあるのを当然の前提として、心の動きに応じて比較的はっきりとした身体的症状を示す場合をこの病名で呼ぶという考え方が主流になっています。したがって、誰にでも起きる可能性はあるということになります。とはいえ、さまざまな研究において心身症になりやすい人の傾向というのはある程度分かってきています。具体的には、緊張しやすい人や感情表現が苦手な人、周囲との調和に過剰に気を使ってしまう人などがなりやすいと言われています。特に自分の内面を言葉で表現する能力に乏しかったり想像力が欠如していたりするアレキシサイミア(失感情言語症)の傾向を示す人に発症例が多いとされています。そのため、心のSOSを言葉の代わりに身体的症状で表現しているのが心身症だという考え方を持っている専門家も存在します。心身症はあくまでも身体の病気として捉えられるものであるため、治療に際してはそれぞれの症状に対応した診療科で治療を受けることになります。その後、あるいはそれと並行して心療内科における心理療法などで改善を目指します。ストレスをためないよう生活習慣を見直すことも重要です。